BCPを考える（3）～停電時にも運転できるエアコン『GHP』

停電時に「空調」が運転できないことで命を落とすということが現実に起こっており、BCP対策を考えるにあたって「空調」は大きな課題のひとつです。
今回は、停電時の空調に対するエネテクのソリューションの1つとして「GHP」をご紹介します。

停電は人命に関わると認識すべき

関東では2年連続で台風による大規模停電の被害がありました。　自然災害は起こる時期を選ばないため時期によって停電による影響は様々です。昨年の台風15号、19号では上記のような痛ましい事故
が起こっています。

停電イコール不便というだけでなく、停電は人命に関わるということを我々は認識しなくてはいけません。

停電時にも空調設備を運転するためには？

上記のように夏季の停電により空調が停止すると、高齢者をはじめ熱中症から重篤化、死に至るケースが多くみられます。

これを防ぐためには自家発電などの電源バックアップ、あるいは停電時にも運転できる空調機を導入する必要性があります。

では、停電時に運転するという観点で2タイプの空調機を比較しながらご紹介します。

●通常の電気式エアコン(EHP)

一般の事業所や店舗などに設置される空調機はパッケージエアコンと呼ばれ、電源を供給しモータでコンプレッサを稼働させるもので、EHP(電気式ヒートポンプパッケージ)といいます。
ほとんどの事業所や店舗などの空調機はこのEHPであり、当然電力会社からの電源が喪失すると運転を継続することができません。
停電時も運転を継続するには非常用発電機などを設置し、発電機より電源を供給することが対策として必要です。
この点も含め、一般的な空調機であるEHPにはいくつかの困った点があるんです。

❶停電になると運転できない
❷使用電力が大きいため電気代が(特に夏場)大きい
❸使用電力が大きいため高圧電気設備などが必要となる
　・・・新設では変圧器など新設する必要も
❹夏場、デマンド超過の恐れがある
❺EHP導入によって低圧から高圧に格上げになることがある

業種にもよりますが、消費電力の中で空調が占めている割合は高く、上記のようなことが問題になるわけです。

停電時の対策のみを考えるのであれば、先にも書いたように発電機を設置すればよいのですが・・・

一石二鳥のソリューションがエネテクにはあります！！
先ほど挙げたEHPのデメリットを打ち消すことができるのが、ガスを使用したガスエンジン駆動式のエアコン＝「GHP」なんです。

●電源が喪失しても運転できるエアコン(GHP)

EHPと違いガスでエンジンを動かしコンプレッサを稼働させるものをGHP(ガスヒートポンプパッケージ)といいます。

①ガス供給設備を必要とする。
②エンジンを積載するためメンテナンスが必須となる。
③エネルギーコストが電気と比較し高い
④機器購入費がEHPと比較し高価
⑤EHPより室外機騒音が大きい

というデメリットもありますが、以下のようなメリットがあります。

①消費電力がEHPの1/10～1/100で済む。
②災害時に停電となっても運転することができる。
③電気をほぼ使用しないのでデマンドを気にしないで済む(夏場ピークが大きく抑制できる)
④EHPからGHPに改修すると電気設備の一部が不要となることがある

このようなメリットがあるのに、意外と知られていないのがGHP。
ですがBCP対策を考えると、導入を検討する価値はあります。

エネテクでも省エネやEGGS（太陽光＋LPガスハイブリッド発電システム）の商談の際に、このGHPをおススメするケースも少なくありません。

BCP対策『災害時だからこそ燃料消費を抑制する』

BCPとは災害時に損害を最小限に抑え事業の継続や復旧を図るための施策であり、全ての照明や空調、PCなど活かす必要性はないと考えます。
空調も同様で、GHPを設置していたとしても、本当に事業を継続させたい場所を限定することが重要です。
空調を稼動させる場所を限定し、ガス消費量を抑えることでインフラの復旧まで事業を継続することが可能になります。

発電機設置計画にあたっては建物全部を発電機でカバーする設計は発電機本体、バルク貯槽本体や電気工事費用を考えると現実的ではありません。

あくまでも

①（従業員が）安心して働ける
②（顧客に）安心を与える
③（会社が）最小限でも事業を継続

することに主眼を置き、必要最小限のバックアップ範囲を特定して頂くことがBCP対策実現の一歩と考えます。