発電量が低い原因は…なんと設計と異なる施工
シミュレーション値よりも低い発電量
新たにソラパトの年間契約をいただいたお客様の発電所で初のメンテナンスを実施しました。竣工後数年、発電容量が約900kW、集中型のPCS(パワコン)2台の発電所です。
事前にお聞きしていた情報は「発電量がシミュレーション値より低い」とのこと。何か不具合があるのでは?と心配になりソラパトにご依頼いただきました。
シミュレーション通り発電しないのは、不具合の可能性もありますし、天候の影響やそもそもシミュレーション自体が正確ではない、という場合もあります。
単線結線図と異なる施工が・・・
お客様から事前に単線結線図をいただいていましたが、現場に到着すると、接続箱の数が違うなど、図面通りに施工されていないことがすぐに目視だけで判明しました。
まずは回路構成を把握すべく、IV測定を実施したところ、直流の回路構成が8直列、10直列、12直列、13直列とばらつきがあり、明らかに単線結線図と異なっています。
ばらつきがあると直列枚数の少ない回路は発電しない
集中型のPCSに接続する場合は太陽電池ストリング(太陽電池モジュールを直列で配線したもの)の枚数を揃える必要があります。
もし、ばらつきがある場合は、PCSのMPPT(最大電力点追従制御)により枚数が少ない回路に電流が流れない場合があるのです。
回路ごとの発電量を調べていくと、8直列、10直列の回路が発電に寄与していないことが判明しました。
まだ何かある?シミュレーション値に追いつかない発電量
回路構成を変更し、全てを13直列に揃えることで、確実に発電量はアップすることが分かりました。しかし、計算してみると、シミュレーションとのズレはこれだけでは埋められません。
ここで諦めないのがソラパト魂、ひょっとして、2台のパワコンへの接続(振り分け)も図面通りではないのでは?と疑い、ブレーカーを調べていくと、500kWと250kWと容量の異なる2台のPCSに450kWずつ均等に分けられていることが判明しました。(下図)
過積載自体が悪いわけではありませんが、この振り分け方では、日射量(≒発電量)が少ない場合も多い場合にもロスが出ることが容易に想像できます。
発電量がシミュレーション値より低い要因は、ここにもあったわけです。これに関しては下の図のように是正しました。
これらの是正を行うことで、発電量はほぼシミュレーションどおりの結果となりました。
この発電所はお客様に提出されていた単線結線図と異なる施工がされていたことが発電量が低い原因だった、ということです。
発電設備の「?」はソラパトにご相談ください!
もし、図面通りに施工されていれば、ここ数年の発電(=売電)ロスは無かったわけです。また、我々も図面を疑わずに点検を行っていたとしたら、不具合を見落としていたかもしれません。
全てを疑えば良いというわけではありませんが、ソラパトスタッフは“不具合の原因は必ず見つける”
という信念と、数々の不具合事例の経験を生かして日々メンテナンスを行っています。