小さな影でも大きな損失?!~甘く見てはいけない影の影響
ただでさえ発電量が下がる冬の時期、樹木や建造物の影が長くなることで、さらに発電量が下がるということがあり得ます。
少しの影ならそんなに影響ないのでは?と考えがちですが、思っている以上に発電量が減少してしまうケースもあるんです。
影の面積分だけが発電しないというのは間違い
お客様から、発電量の低下が著しいという相談がありました。
現地で確認すると南側に大きな木が1本。
発電所の竣工時から木が成長し、さらに影の長くなる時期であったため、細長い影がmソーラーパネル(太陽光電池モジュール)の数枚にかかっていました。
下の図のようなイメージです。当初は濃いグレーのような影だったのが、薄いグレーの細長い影になっていました。
影自体はパネル全体からすればごく一部なのですが、どうやらこれが原因のようです。
影の部分だけが発電しなくても、全体には大きな影響はないと考えがちですが、実際は“影がかかる回路の発電量に影響”します。
横一列に配線がつないであるため、このように影がかかると、1番回路から5番回路まで、全てに影響し、全体的な発電量低下を引き起こしてしまいます。
少しの影でも配線によっては全体的な発電量低下につながるケースもあるのです。
配線を変えるという選択も
このような場合にはいくつかの対処方法があります。
影の原因を無くす
1つは、影を無くす方法。影を作っているのが木であれば切ってしまうというわけです。
自分で所有する土地の木であれば簡単かもしれませんが、そうでなければ許可も必要でしょうし、建造物の影ということであれば難しいというか不可能に近いと思われます。
配線を変更する
先ほど紹介した例のような場合に有効なのが“配線を変える”方法です。
下の図をご覧ください。
是正前の回路では1番回路から5番回路まで全て影がかかっていて、全体的に発電量低下となるのですが、是正後のように配線を縦に変えることで、4番のみ影がかかる回路構成となり、1回路のみに発電量低下に抑えることができます。
図で見ると簡単なように見えますが、コストがかなりかかる場合もありますので、今後の発電量(その損失分)を踏まえ、プラスとなるのであれば早めの対応をお勧めいたします。
オプティマイザーの設置
パネルごとの発電量を最大化する「オプティマイザー」を取り付けるという方法もあります。
高価に関しては弊社でもグループ会社の発電所に取り付けて実証していますが、配線を変えるのと同様、費用対効果が気になるところです。
長期にわたる安定稼働、安定した収益のために
設計時には影の影響に関してもちろん考慮するのですが、周りの環境は変化しますから、予想外の影が発生することもありえます。
そしてその影が想像以上の発電量低下や、場合によっては大きな災害に繋がることも無いとは言えません。
コストやリスクをしっかり検討し、適切な対応をしておくことが安定した発電事業、収益に繋がります。